一般社団法人大和青年会議所

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2019年度 理事長所信

第41代理事長 清水 洋州

​(はじめに)

 企業は自らの永続性を実現し、また持続可能な未来を社会とともに築いていく必要がある。日常的な企業活動の中でその拠点となる地域社会に貢献していかなければならない。

 私が青年会議所に入会した理由がそこにある。

 それは単なるボランティアではなく、地域貢献活動を通じて地域活性化につなげ、地域経済が発展することで結果としてビジネスも繁栄するという広義の利己主義である。その考えは今も変わらない。

 ノブレス・オブリージュ、高貴さは義務を強制する。財産、権力並びに社会的地位の保持には責任を伴うことを指す。元々は特権階級である貴族や王族が負う義務としてこの言葉が使われ、最近では社会の模範としての社会的責任として用いられるが、高貴さは社会的地位の高い者だけが持つものではない。中国で用いられた理想的人格である君子は、学徳が備わり、人民の模範となって指導するものをいい、ヨーロッパで成立した騎士階級の行動・道徳規範である騎士道における紳士淑女は礼儀正しく、気品のある男女を表現する。

 我々は、社会と人間の開発を通じて共に向上し合い、社会に貢献しようという理念のもとに各地で青年会議所運動を展開してきた。今から遡ること40年前の1979年11月、この大和においても志高き青年たちにより、自分たち以外には誰も実現できないという激しい使命感をもって青年会議所が創立され、明るい豊かな社会という理想の実現を自らの義務として、志をもって地域のために事を成してきた。

 高貴さは社会的地位を高い者だけが持つものではない。誇り高く高潔な人間性を兼ね備えた者こそが高貴であり、だからこそそれにふさわしい責任と義務が伴うものだと我々は自覚しなければならない。

(創造)

 新日本の再建は我々青年の仕事である。今から70年前、物情騒然たる戦後の混乱期に新日本再建の使命をもって創立された青年会議所は、日本の、地域の復興を目指す若者が主体的に創り上げた組織であります。

 また150年前、理想に燃えた青年志士が主役となり危機感を持って政治の方向を変え、今につながる近代国家の礎を築いてまいりました。いずれも明るい未来を思い描き、新たな時代の幕開けと変革を強く感じでいたはずです。

 平成の時代が終わろうとしている中で、私たちはこの変わりゆく時代に誰よりも率先して変化を捉え、変化を恐れずに行動しなければなりません。歴史を知り、先達が築き上げた創立の精神・原点に今一度立ち返り、守るべき伝統は守りながらも、新たな未来を創るために、地域のリーダーとして、次世代のリーダーとして、常に挑戦して次世代につないでいかなければなりません。地域が抱える課題に対して、私たちこそが新たな価値を創造していかなければならないのです。

(SDGs)

 国際化により世界との地理的な距離は意味を薄れ、経済的な距離は小さくなっている昨今、地域で経済活動を行う私たちにとっても国際的な視点は不可欠です。

 国際連合では2015年9月に、MDGsの後継として2030年までに達成すべき持続可能な開発目標、SDGsが誕生しました。SDGsは「誰ひとり取り残さない」を理念とした世界すべての人に共通する普遍性が特徴であり、発展途上国だけでなく、先進国を含めたほとんどの国々に対し、あらゆる貧困、不平等、気候変動に対処するなど、17の大きな目標とそれらを達成するための169のターゲットで構成されています。

 青年会議所は、恒久的平和を掲げ、国連関係機関以外の世界的NGOで唯一、国連ロゴの使用を許可されている組織であるからこそ、率先してこのSDGsに取り組んでいかなければなりません。

 大和青年会議所では地域社会の改善のために、SDGsの17の項目について私たち自身の目標を定めて推進してまいります。地域特性に合った持続可能な社会福祉の確立並びに社会基盤の形成を目指し、また個人・企業活動を問わず住み暮らす地域課題の解決に向けた取り組みを続けていける仕組みを構築してまいります。

(地域とのつながり)

 先輩諸兄による尊い努力の重なりにより、国際マラソンやY-1グランプリといった情熱溢れる思いのこもった事業を行いながら40年間地域で運動を展開してきた大和青年会議所は、真に地域から必要とされる団体として活動し歴史を刻んでまいりました。また第46回神奈川ブロック大会大和大会を主管して地域とのつながりをより強固なものとしました。今後も地域に求められ、それに応えうる団体として存在するために、私たちは情熱を傾け運動を展開し、それを地域の方々に伝播して共感を得ていなければなりません。地域において青年会議所でしかできないことを、青年会議所だからやるべきことを皆で考えて挑戦していかなければなりません。その結果、地域における大和青年会議所のプレゼンスは一層高まることになるはずです。今も昔もそしてこれからも地域を変えられるのは青年会議所しかない、地域を変える人材は青年会議所から輩出される、私はそのように信じています。

(しなやかで強靭な地域社会への改善)

 2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震並びにその後の豪雨災害など日本では衝撃的な災害が多発しております。災害の発生を完全に防ぐことができない以上、その被害が軽減される災害に強い強靭なまちづくりを進めるとともに、災害が起きてしまった時には状況に合わせた方法で個人や地域が自ら行動して回復を目指す必要があり、一人ひとりが適切に判断できるように防災意識の醸成を図らなければなりません。安全で安心な地域社会を希求する現在の大きな潮流の中で現代社会の脆弱性に対してそのレジリエンスを高めていかなければなりません。

(地方創生と地域共育)

 人口減少社会は、財政や社会保障などの持続可能性を困難にし、中山間地域等の活力は低下し、首都圏では高齢者が急増していきます。2040年までに全国約1800市町村のうち半数が消滅する恐れがあるといわれ、このままでは地方の多くが消滅し、日本全体が衰退する危険性があります。地域における公共の担い手としての役割はもちろんのこと、持続可能な地域づくりのため、地域に安定した雇用を創出するとともに、時代に合った希望あふれるまちづくりを行い、新しい人の流れを作らなければなりません。働き方がより多様化していく中で多様な生き方の創造には地方創生が必要となります。

 また東京一極集中による核家族化は、かつて我が国では当たり前に存在した地域の相互扶助や家族同士の助け合いなどの支え合いの基盤を弱めて希薄にしていきます。社会構造と人々の暮らしの変化を踏まえ、地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域を共に創っていく社会を目指す必要があります。子どもから高齢者まで誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていくために、高齢者や障がい者などに対する支援や児童の健全育成に積極的に取り組んでまいります。

(地域を先導するリーダーの育成)

 私たちは、地域の中心となってまちづくりを先導していくリーダーとして、明るい豊かな社会の実現という目的のために、強い情熱と行動力そして粘り強さを備え、周囲を巻き込む魅力や説得力を有していることが求められます。自己の損得に偏らず、全体を見渡し、正しい判断ができるように常に心掛け、強い信念と人としての思いやりを持って冷静な判断・決断をしなければなりません。

 リーダーにはこのような資質に加え、大きな目標を掲げなければなりません。目標を設けると次に待ち受けるのは、それを達成するための苦難の連続であり、それは茨の道であります。しかし明るい豊かな社会という理想は誰も経験したことのない未知の世界であるからこそ、私たちはこの茨の道を突き進まなければなりません。そしてこの経験からの学びこそがリーダーとしての自分自身を形作っていくはずです。

 青年会議所の根幹が変革であるとすれば、新たな価値を創造して地域を変えていくとともに自らも変えていかなければなりません。だからこそ私たちは日々研鑽の場を求め自己成長を遂げていく必要があるのです。現状を変えずに同じことを繰り返すだけでは人は成長しません。私たち自身、そして組織としての成長を止めないためには新たな担いに果敢に挑戦し続けることが不可欠であり、そのためには志高き熱意ある青年を増やすとともに、社会的影響力を持つ組織と連携を取らなければなりません。社会を動かす力を持つのはいつの時代も青年たちでした。創立以来継続して行われている最大の運動である拡大運動には全力で取り組むことはもちろん、私たちは出向や交流といった数多の同志との出会いの機会を通じて、磨かれ様々な考え方を吸収し、より自己成長した形でこの大和に貢献し続けてまいります。

(組織力の強化)

 強い組織とは、組織を構成する一人ひとりに高レベルなスキルが備わっているとともに、それぞれが自身や組織の弱点を認識し、互いに協調しあって認めあう信頼関係がある組織であります。組織内で互いに協調して認め合うことでその組織は同じ方向に向かって強く進んでいきます。そのためには青年会議所活動において互いの価値観をぶつけ合い、また互いを理解し、支え合い切磋琢磨することにより強い信頼関係を構築しなければなりません。

 文字通り会議をする所である青年会議所は、時としてその仕組みが挑戦的な事業実施を阻害することもあります。計画を決定し、報告を承認するという原点に立ち返って会議運営を見直し、適切な権限委譲と支援体制を築き、創造性豊かなメンバーが生み出すアイデアを実現するための後押しを行ってまいります。

 また本年は、総務・拡大アカデミー・まちづくり推進・青少年育成・渉外の5委員会を組織して、多くのメンバーに権限を用意することで行動変革がなされることを目指しております。人数に組織を合わせるのではなく、組織に人数を合わせなければならない。そのために個々の主体性をより向上させるとともに、私たちの運動に共感していただける新たな仲間を多く集めてまいります。

(結びに)

 2019年、41年目の未来を創っていくのは我々だ。明るい豊かな社会、その理想は簡単に手の届く、そんな距離にはない。今は茨の道であったとしてもそれはこの故郷を守らんとする道である。

 長きにわたり、大和の発展に尽力し、大和青年会議所を光り輝く存在へと昇華させた先達がいる。我々の人生よりも長く、故郷と寄り添ってきたこの組織には、誇らしい歴史とそれに裏付けられた力がある。

 青年会議所という誇り高き舞台で我々は演じなければならない。

 我々が自分たちの手で未来の灯を点し、先達がしたように自ら行動し、夢を描こう。大志を抱き創造しよう。誇り高き力を解き放とう。

 革新と挑戦がもたらすまち、幸せあふれる大和を創造できるのは我々しかいない。

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