2025年度 理事長所信

【はじめに】
「無知の知」という言葉は、古代ギリシャの哲学者ソクラテスに由来するものです。この言葉は、「自分には知識がないことを知る」という自己認識の重要性を説いています。つまり、自らの無知を認識し、その認識を出発点として掘り下げる姿勢を指しています。今現状私たちが持っている知識や経験には偏りがあり、それらに固執することなく、学び続ける姿勢の大切さを説いています。
現代においても、このソクラテスの精神は普遍的な価値を持ち続けています。これは自己成長を追求し、より良い社会を築き上げるための確固たる基盤となるものです。社会が多様化し、日々変化する時代にあっても、揺らぐことのない普遍的な価値は存在します。それは人とよりそい合うことで、新たな知識や経験を得ることができ、個人の成長へと繋がっていくのです。
1949年、日本初の青年会議所である東京青年会議所が設立されました。その後、1951年には日本青年会議所が「個人の修練、社会への奉仕、世界との友情」という尊いスローガンを掲げて設立され、日本の青年活動の礎を築きました。私たち大和青年会議所は、この流れを受け継ぎ、1979年に全国で652番目の青年会議所としてこの地に設立されました。設立以来、「明るい豊かな社会」を目指し、先輩諸兄姉の熱い想いと揺るぎない信念によって、地域の発展に寄与する歴史と伝統を積み重ねてまいりました。この積み重ねられた歴史と伝統は、今日の私たちの活動の礎となっております。
大和市は、1959年に県下14番目の市として市制を施行し、その後の発展は目覚ましいものでした。県央地区の好立地に合わせてアクセスも優れており、大型公園の造設など踏まえて1992年には市の人口が20万人を突破し、また人口の増加に合わせて子育て支援も充実しており、2021年には24万人を上回るまでに成長しました。この数字は、大和市が活気に満ちた都市として発展を続けている証拠です。現在も人口は微増を続けており、これは地域の魅力が人々を引き寄せ続けていることを示しております。
しかし、その一方で、地域社会が抱える課題も浮き彫りになっています。総人口に占める年少人口の緩やかな減少や、全体の約9割を占める核家族世帯の増加により、かつてのような地域コミュニティのつながりが次第に希薄化しつつあります。また、高齢化の進展により、自治会加入率が10年連続で減少しているという現状は、地域コミュニティの崩壊の可能性を示唆し、私たちに大きな課題を突きつけています。地域社会のつながりを取り戻し、持続可能なコミュニティを再構築するために、私たちは新たな地域社会のあり方を模索し、ネットワークを強化していく必要があります。
インターネットの普及とスマートフォンなどにより急速な発展は、私たちの生活を劇的に変えました。情報は瞬時に手に入るようになり、私たちは地球の裏側の出来事でさえ、リアルタイムで知ることができます。この情報化社会は、確かに私たちに多くの利便性と恩恵をもたらしました。しかし、その便利さの陰には、知りたい情報だけを選び、都合の良い視点だけで物事を見るという偏りが生じているという側面もあります。情報の過多の中で、私たちは本当に大切なことを見失ってはいないでしょうか。今一度立ち止まって考える必要があるのかもしれません。私たちは「無知の知」の精神に立ち返り、既成の価値観や偏った情報に安住することなく、新たな知見とつながりを育む努力を続けていくべきです。
どんな時代においても、人は一人では生きていけません。人とひととが互いによりそい、支え合い、高め合って、豊かな社会が築かれるのです。これは、個人の幸福が地域社会全体の幸福と密接に結びついていることを意味します。孤立した個人の幸福はありえず、互いに助け合うコミュニティの中でこそ、ウェルビーイングが実現されるのです。私たちは、そのような地域社会の実現に向けて、今年も行政各所や地域自治体などと密接に連携し、地域課題に積極的に取り組んでいきます。そして、地域から真に必要とされる存在となることを目指し、運動を展開してまいります。未来を築く一助となるために、今こそ私たちは共に立ち上がり、協力して歩んでいきます。
【求められる地域共創】
大和市内では、多くの課題に対して行政をはじめ多くの団体が努力を続けています。大和青年会議所もその一員として、長年にわたり地域の発展に寄与してきました。令和6年度の大和市基本構想には「みんながつながる健幸都市やまと」というビジョンが掲げられています。これは単に身体的な健康だけでなく、人々が心から幸せを感じられるまちづくりを目指すという理念です。では、「健幸」とは具体的にどのように実現すればよいのでしょうか。健幸を構成する要素の一つに、人とひとがつながること、そして地域とつながることがあります。これらは、人々が幸福を感じるための重要な要因です。また、人が他者から感謝される経験は、個々の幸福感を高めるとされています。
私たちは、大和市が持つ豊かな特色を最大限に活かし、地域事業の発展により良くに貢献することを目指しています。その一環として、今年も地域住民が参加できるスポーツ事業「エクスポ」を積極的に展開していきたいと思います。青少年をターゲットにしたスポーツ事業では、家族や友人が一堂に会し、心身を鍛えるだけでなく、地域の絆を深める場を提供しています。競技だけでなく、スポーツ教室や体験事業も行い、普段スポーツに馴染みのない方でも気軽に参加できるよう工夫を凝らしています。さらに、エクスポを通じて参加者同士が自然と交流を深めることで、健康促進と地域活性化の両方を同時に実現し、事業を通して諸団体とのつながりも強化いたします。
また今年も地域で行われているおまつりに参画したいと思います。地元の文化や食を通じて多くの人々が集まり、地域の伝統を再認識しながら交流を深めようと思います。私たち大和青年会議所も、青年や青少年に向けた設えに力を入れて取り組み、地元企業、諸団体との共創し、来場者にとって一体感あふれる楽しい時間を提供しています。おまつりの開催によって、地域の魅力を内外に発信し、多くの方々が楽しむ中で、地域経済の活性化にもつながっています。こうした取り組みを通じて、地域住民を巻き込んだ事業展開を行います。今年も青少年から青年まで多く方に向けて地域を盛り上げ、帰属意識を向上するような事業計画し、これまでよりも魅力的な運動を発信していきたいと思います。
【増えていく拡大共育】
現在の大和青年会議所のメンバーの約半数は、入会2年以下の若いメンバーです。彼らは近しいつながりの中では活発に活動していますが、委員会の枠を超えて広く活動するまでにはもう少し経験が必要と考えております。新しいことへの挑戦や活発な行動を行わないと組織全体としての成長が滞ってしまう恐れがあります。その結果メンバー同士が共に高め合う関係を築くことが難しくなってしまいます。青年会議所では組織に属するだけではなく、メンバーの一人ひとりが、自発的に行動を起こすことが求められますが、まずはメンバー一人ひとりの人となりを知ることから始めるべきだと思います。組織とは同じ目的を掲げ、賛同したメンバーの集合体でしかないことを理解してほしいと思います。組織として守るべきことはゆっくり時間を掛けて伝えていき、まずはメンバーの気持ちによりそい続けてください。実行より大切なことは、その意思決定を何名のメンバーがしっかりと共有していることに他なりません。特に単年度制の組織で目に見える成果を上げることは容易ではありませんが、日々会員によりそい、共に課題に取り組む姿勢こそが、メンバーの心に響くものです。私たちはまず、自らの仲間を真剣に思いやることから始めるべきです。その思いやりが育まれることで、団体は縮小することなく、むしろ行動の幅を広げることができると信じています。私たちの行動が誰のためであるのかを常に意識し、日々少しずつ続けていくことが重要です。また、メンバー相互の理解が進むことで、組織内での情報共有や助け合いの機会が増え、新たなアイデアの創出や積極的な活動への誘発につながります。そうした一歩いっぽの積み重ねこそが、強固な信頼関係を築き、将来的な発展を支える原動力となるはずです。私たちは、互いを理解し合い、リーダーシップを発揮できる環境を整えることで、共に成長し続ける組織を築いていくことができます。
人と寄り添うことで、新しい原体験を感じることがあると思います。私たちの組織の良さは、一人ひとりが組織に向きあい、作り上げていくことにあります。過去から続くルールなどは存在しますが、古き良きものは残しつつ新しいルールなどを時代に合わせ作成し、実行を行う。一年通してそのルールが良ければ再度続け、間違っていればやめるべきです。その裁量を理事メンバー一人ひとりがもっており、組織を良くしたいと思えば、思うほど新しい形へ進化し、変わり続けることと思います。メンバーが良い組織したいと強く思い、行動する組織であれば、自然と協力者と手を取り合い、入会したいメンバーが増えることと信じております。僕たちの組織はみんなの手で丁寧につくるからこそ、メンバーの自己成長のためにあり、存在し続け、私たちはどこまでも支援し、共に学び、成長していく決意です。
【よりそう総務渉外】
青年会議所の運動は、各会員の貴重な時間と会費に支えられています。そのため、それらの資源をどのように使うかについては、大きな責任を伴います。組織を健全に維持し、力強い活動を展開していくためには、効率的かつ効果的な運営が不可欠です。私たちは、すべての議案書を事前に精査し、議論の本質に集中できるよう体制を整えます。また、予算の適正な執行についても厳密に審査し、目的に沿った効果的な利用ができているかを常に確認します。これにより、大和青年会議所の健全な組織運営が確保され、透明性と信頼性のある組織として、地域からの信頼を獲得していきます。中でも組織運営に関して、色々な試みを検討しております。各委員長に裁量を任しておりましたが、実際に委員会運営が滞りなく行えているのかの資料提出を求め把握、委員会運営が上手くいっているかを検討いたします。時代に合わせて、また渉外活動として色々な場所に向かい新しい経験を得ることは大変貴重な機会と考えております。今まで感じることがなかった原体験を感じられるのは、初めてのことなのか、それとも見聞を深めたからこそ気づけるようになったのか、確かな答えはわかないですが、気持ちの変化を大切にした一年を心掛けていきます。今までの各手法において、より効率的で効果的なものは残しつつ柔軟な部分を増やして、挑戦を重ねたいと思います。
【結びに】
今年のスローガンは『よりそう』にいたしました。私たちは常に学び続け、自己を高め続ける姿勢を持たなければなりません。それを克服するために努力をする多くの仲間と出会い、協力して邁進していきます。またここで学んだ知識を地域社会のために活かすことが、私たちの使命です。大和青年会議所は、これまでの歴史と伝統を礎に、地域社会の発展に向けて多くの活動を展開してきました。しかし、これからの時代は、さらに複雑で多様な課題に直面することでしょう。私たちは、これらの課題に真摯に向き合い、仲間とともに協力し、地域社会のために行動することが求められます。私たちは、一人ひとりの力を結集し、「明るい豊かなまちづくり」に向けて歩み続けます。そのためには、自己の成長と組織の発展を両立させ、地域社会に必要とされる存在であり続けることが重要です。そして、私たちの活動が、地域の皆様にとって希望となり、未来を切り拓く力となることを確信しています。これからの一年、私たち大和青年会議所は、今まで以上に地域に根ざし、地域とともに成長する団体としての役割を果たすため、全力で活動してまいります。そして、地域の皆様とともに、新たな時代のウェルビーイングを実現し、次の世代に誇りを持って引き継げる大和市を築いていきます。この所信表明に込めた私たちの想いを胸に、一歩ずつ着実に前進し、より良い未来を創造するために努力を惜しまず邁進してまいります。どうぞ、これからの一年間、皆様の温かいご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。